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「今回だけ」を、なくすことにしました

お金の分け方を、先に決めておくことにしました。しかも、決めたら途中では動かさない、というおまけ付きで。

分け方そのものは複雑ではありません。月に残ったお金を三つに分けます。次の仕入れや将来のために置いておく分。参加している人に同じ額で行き渡る分。そして、実際に動いた時間に応じて返ってくる分。

数字の細かいところより、私が大事だと思っているのは、この式を月の途中で変えない、というほうです。

正直に言うと、ここが自分でもいちばん引っかかっていました。

たとえば、ある月に誰かが本当に大変な思いをして、ひとりで踏ん張ってくれたとします。数字の上では大した時間になっていなくても、その人がいなかったら止まっていた。そのとき「今回は特別に」と足してあげたい。人としては、そう思うほうが自然だと思うんです。

でも、その一回を認めた瞬間に、何が始まるかを考えました。

次からは、みんなが「特別」を期待するようになります。そして特別を認めてもらうには、誰かに認めてもらう必要が出てきます。つまり、うまく伝えられる人、日頃から近くにいる人が、少しずつ有利になっていく。

いちばん損をするのは、たぶん「言わない人」です。大変だったことを大変だったと言えない人。自分なんてまだまだだと思ってしまう人。私がこの場所に来てほしいと思っているのは、どちらかというと、そういう人たちなんです。

だったら、例外はゼロにするしかないと思いました。

例外がないというのは、裏を返せば、お願いしなくていいということでもあります。誰かに気に入られなくても、うまく説明できなくても、動いた分はちゃんと戻ってくる。頼み込む必要がない、というのは、けっこう大きな安心なんじゃないかと思っています。

もちろん、式そのものが間違っていることもあるはずです。置いておく分が多すぎたとか、時間の数え方が実態と合っていないとか、必ず出てきます。そのときは変えます。ただし、次の期から。今月の分に遡っては直しません。

「変えられない」ではなくて、「変え方が決まっている」。それだけの違いですが、ずいぶん違う気がしています。

とはいえ、これでうまくいくと言い切れるかというと、まだ分かりません。数字に表れない働きをどう扱うのかは、今も宿題として残っています。誰かが黙って支えてくれたことが、記録のどこにも残らないままになるのは、やっぱり嫌だなと思うので。

そこはこれから、実際にやりながら考えていくことになりそうです。一緒に考えてくれる人がいたら、うれしいなと思っています。